
残酷さに、三回ぐらい、もう見続けることができないと思った。「これは映画」と自分に言い聞かせ、手で画面を覆ったり早送りしたりして、なんとか最後まで見た。映画館の大画面で見ていたらトラウマになったかもしれない。これを女の人が撮ったとは、なんというガッツ。私は政治に疎いので、アメリカ人がイラクで誰と戦っているのか理解できなかった。アメリカ人やイギリス人を攻撃してくる人と戦っているという程度にしか。
『ハートロッカー』を見て思ったのは、言いたいことは一つに絞った方が良いのだろうか、ということ。この映画が一番言いたいことは、オープニングで出てくる引用句と、その引用句に共通したエンディングにあるのだと思う。けれど、映画の途中で、夜に爆破が起きて、そこに三人の兵士が行くシーンがある。そこで兵士の一人が、「この爆破は遠隔操作だ、指示した奴はこの暗闇の中にいて、じっと見ているだけなんだ」と怒りを込めて言い、スクリーン(観客)に向けてライトを照らす。このシーンは非常に力を持ったシーンになっている。けれど、このシーンはこの映画で一番メッセージ性を持ったシーンでありながら、オープニングとエンディングにあるメッセージとは離れている。
一つの物語にすることはできない、それが現代の戦争なんだ、というのがこの映画なのかもしれない。