ダークナイト
監督:クリストファー・ノーラン
脚本:クリストファー・ノーラン&ジョナサン・ノーラン
製作年:2008 製作国:アメリカ 配給:ワーナーブラザーズ
ジャンル:コミック/ファンタジー
キャスト:クリスチャン・ベール ヒース・レジャー ゲイリー・オールドマン
2008年に見た映画で一番面白かったのは『ダークナイト』だった。この映画を見て、現代でも一流の映画を作る人達がいるんだと知った。映画の筋がよく出来ていて、映像がダイナミックで、俳優陣が素晴らしかっただけではなく、この映画が作られた時代が、『ダークナイト』というファンタジーの世界に反映されていた。映画の最後にクリスチャン・ベールがボイスオーバーで言う「人々には物語が必要だ/People need more than reality」からは、この映画を作った人達の、それが映画が生まれた時から変わっていない映画の重要な使命の一つなのだという覚悟が感じられた。
私は、この映画を見るまで同じ映画を二回映画館に見に行くということをしたことがなかったけれど、『ダークナイト』は生まれて初めて映画館に二回見に行った。二回見て、二回とも映画のクレジットが完全に終わるまで席から動けなかった。
『ダークナイト』の他にヒース・レジャーが出演している作品を見たことがないけれど、ジョーカー役のヒース・レジャーはすごかった。『ダークナイト』では、彼はジョーカー以外の何者でもなく、ヒース・レジャーの欠片もなかった。完全にジョーカーだった。冒頭のシーンでも、後頭部と肩と後姿だけで、この人が何らかの重要な役柄を演じるのだろうと感じさせる存在感があった。丸い背中、上目遣い、歩き方、話し方、声がジョーカーだった。今後、彼の成長を見られないのは、知ることのできない損失なのだろう。ヒース・レジャーが生まれてきて、自分の能力を最大限に使って素晴らしい演技を見せてくれたことに感謝したい。自分と同じ年に生まれた人が、こんなにすごい仕事をしたことに驚嘆と尊敬の念を覚える。